私は30代半ばまで、口内炎とはほとんど無縁の生活を送ってきました。たまに自分の頬を噛んでしまった時にできる程度で、それも数日で自然に治るのが当たり前だと思っていました。ところが、昨年の秋頃から急に口内炎がよくできるようになったのです。最初は仕事のプロジェクトが忙しかったため、寝不足やストレスのせいだろうと軽く考えていました。しかし、1つ治ったかと思うとすぐに舌の横に新しいものができ、それが治る頃には唇の裏側に3個も4個も同時に発生するという異常な状態が3ヶ月以上続きました。食事のたびに激痛が走り、大好きな辛いものや熱いものも食べられず、会話をすることさえ苦痛に感じる日々。市販の塗り薬やビタミン剤を大量に摂取しても、全くと言っていいほど効果がありませんでした。鏡を見るたびに増えていく白い潰瘍に、私は次第に「これは単なる疲れではないのではないか」という強い不安を抱くようになりました。ネットで検索すると、口内炎がよくできるようになった背景には重大な病気が隠れている可能性があるという記事がいくつも出てきました。意を決して近くの内科を受診し、これまでの経過を詳しく話したところ、血液検査を受けることになりました。結果が出るまでの数日間は生きた心地がしませんでしたが、判明した原因は意外なものでした。私の口内炎を頻発させていたのは、重度の鉄欠乏性貧血と、それに伴う粘膜の萎縮だったのです。数値を見た医師からは「これほど数値が低いと、粘膜がボロボロになって当たり前です。よくここまで我慢しましたね」と言われました。実は、貧血が進むと細胞に十分な酸素が行き渡らなくなり、口腔粘膜の再生が著しく遅れるため、口内炎が常態化してしまうのだそうです。それからは鉄剤の服用と食事療法の徹底が始まりました。治療を始めて1ヶ月が経過する頃には、あんなに執拗に繰り返していた口内炎が嘘のようにできなくなりました。振り返ってみれば、口内炎がよくできるようになったのは、私の身体が「もう限界だよ、助けて」と叫んでいた声だったのだと痛感しています。もしあのまま放置していたら、貧血による他の合併症でさらに深刻な状況に陥っていたかもしれません。口内炎は小さな痛みですが、それが伝えるメッセージは決して小さくありません。私のように、体質の変化を感じた時には、自分の勘を信じて病院へ行くことが大切です。病気は早期に発見すればするほど、治療の負担も軽くなります。今ではすっかり完治し、何でも美味しく食べられる喜びを噛み締めていますが、あの時の白い潰瘍の痛みは忘れることができません。健康のありがたさを再確認させてくれたあの口内炎は、私にとって人生の警告灯だったのだと思っています。皆さんも、自分の体の些細な変化を見逃さず、少しでも「おかしいな」と思ったら専門家に相談してください。その一歩が、あなたの大切な日常を守ることにつながるはずです。
突然口内炎がよくできるようになった私の闘病体験記