歯科の現場で多くの患者さんと接していると、舌の口内炎が原因で来院される方が非常に多いことに気づかされます。プロの視点から言わせていただくと、舌の口内炎の多くは「口腔内の環境」と「物理的刺激」の2つの側面から予防が可能です。まず口腔環境についてですが、口の中には何千億という細菌が住んでおり、磨き残しがあったり歯周病が進行していたりすると、口内炎の傷口に細菌が感染して炎症が悪化しやすくなります。毎日の歯磨きはもちろん大切ですが、舌自体のケアも重要です。舌の表面には舌苔と呼ばれる汚れが付着しやすく、ここに細菌が溜まるため、専用の舌ブラシを使って優しく掃除する習慣を身につけることが、口内炎予防に繋がります。ただし、強くこすりすぎると逆に粘膜を傷つけて口内炎の原因を作ってしまうため、1日1回、なでるように洗うのがコツです。次に物理的刺激についてですが、意外と多いのが「合っていない銀歯や詰め物」が舌の縁を常に刺激しているケースです。長年使っている詰め物が劣化して角が鋭利になっていたり、加齢による歯並びの変化で特定の歯が舌に当たりやすくなっていたりすると、それが慢性的な刺激となり、同じ場所に何度も口内炎ができるようになります。この場合は、歯科医院で角を丸く削ったり、被せ物を新調したりするだけで劇的に改善することがあります。また、矯正器具を使用している方は特に口内炎ができやすいですが、専用のワックスを使用して突起部分をカバーするなどの工夫をアドバイスしています。私たちは診察の際、患者さんの舌の状態を細かくチェックし、単なる炎症なのか、それとも歯の接触によるものなのかを見極めます。口の中を常に清潔に保ち、自分に合ったケア用品を選び、そして定期的なメンテナンスを受けること。この3つのステップを実践するだけで、舌の口内炎に悩まされる回数は確実に減らすことができます。たかが口内炎と思わず、痛みがひどい時や不安な時は、ぜひ私たち歯科の専門家に相談してください。
歯科衛生士が語る舌の口内炎を予防する口腔ケア