アドバイザーとして口内炎の対処法を指導する際、よく質問を受けるのが「塩を塗ると早く治るのか」という点です。結論から申し上げますと、患部に直接塩を塗り込む行為は推奨しませんが、塩を「うがい」として活用することは、非常に有効な応急処置となります。口内炎が長引く大きな原因の1つは、口腔内の雑菌が潰瘍部位に繁殖し、二次感染を引き起こすことにあります。そこで、コップ1杯のぬるま湯に小さじ半分程度の塩を溶かした「食塩水」で口をゆすぐことで、口腔内の環境を整えることができます。この程度の濃度であれば、粘膜への刺激を最小限に抑えつつ、穏やかな殺菌効果と洗浄効果を期待できます。直接塩を塗るのが「攻撃」だとすれば、食塩水でのうがいは「防衛」のケアと言えるでしょう。ただし、使用する塩は添加物のない精製塩や天然塩を用い、温度は体温に近いぬるま湯にすることが鉄則です。冷たすぎたり熱すぎたりする水は、それ自体が患部への刺激となってしまいます。また、うがいの回数は1日3回から5回程度とし、強くゆすぎすぎないように注意が必要です。一方で、なぜ直接塩を塗ってはいけないのかという理由をより深く掘り下げると、粘膜のバリア機能の破壊が挙げられます。口内炎の表面は非常に脆弱で、細胞の再生が懸命に行われている最前線です。そこに結晶のままの塩を置くことは、物理的に細胞を傷つけるだけでなく、浸透圧の差で細胞内の成分を無理やり引き出すことになり、再生しようとしている新しい細胞を死滅させてしまいます。これが、塩を塗った後に口内炎が拡大したり、治りが遅くなったりするメカニズムです。アドバイスとしては、まずは口腔内を清潔にするために食塩水うがいを行い、その後に市販の保護軟膏を塗布して患部を物理的にカバーするのが最も効果的な流れです。さらに、食事ではビタミンB群を豊富に含むレバーや納豆、卵などを摂取し、内側からの修復力を高めることが重要です。口内炎は身体の免疫力が低下している証拠ですので、塩という外部刺激に頼るのではなく、自分の身体が本来持っている治癒力をいかにサポートするかが完治への鍵となります。もし、塩を使ったうがいでも染みて痛みが強い場合は、真水でのうがいに切り替えるか、刺激の少ない口腔ケア用品を選ぶようにしてください。