爽やかに1日を始めようとした朝の洗面所で、私は自分の不注意によって最悪のスタートを切ることになりました。数日前から右下の奥歯に近い歯茎にできていた小さな口内炎が、今朝に限って激しく自己主張をしており、それを避けながら慎重に歯を磨いていたつもりでしたが、少し手が滑った瞬間にブラシの先端が患部を鋭く突き刺したのです。反射的に声を上げるほどの激痛が走り、直後に口の中から溢れ出してきたのは、白い歯磨き粉の泡を真っ赤に染め上げるほどの鮮血でした。鏡に映る自分の顔は一気に青ざめ、口をゆすいでもゆすいでも止まらない出血に、今日1日の仕事や会食の予定がすべて灰色の雲に覆われたような感覚に陥りました。ようやく止血を終えた頃には、朝の貴重な15分が経過しており、おまけに患部はドクドクと脈打つような鈍い痛みを放ち続け、朝食のトーストを食べる気力さえ失われてしまいました。コーヒーを一口飲もうとしても、その熱さと酸味が傷口を容赦なく攻撃し、結局何も口にできないまま家を出る羽目になりました。電車の中でも、舌が不意に患部に触れるたびに血の味がしないか確認してしまい、集中力は散漫になるばかりです。午後の会議でも、話し始めの一言目でまた出血するのではないかという恐怖から、どうしても発言が消極的になり、周囲からも体調を心配される始末でした。たった数ミリの、しかも血が出る程度の口内炎が、これほどまでに人間の精神を摩耗させ、前向きな気持ちを削ぎ落としてしまう事実に、私は改めて健康の大切さを痛感せずにはいられませんでした。帰りにドラッグストアに寄り、一番効果がありそうな高価なパッチ剤とビタミン剤を買い込み、今夜こそは泥のように眠って身体を修復させようと固く心に誓いました。明日こそは、血の味に怯えることなく、心から笑って1日を過ごせるように、今はただ身体が発したこの赤い警告を真摯に受け止め、自分を労わる時間を持とうと思います。出血という現象に過度な恐怖を抱く必要はありませんが、それが自分の身体の状態を映し出す鏡であることを忘れず、丁寧に向き合っていく姿勢が求められます。