私は以前、仕事のストレスから大きな口内炎ができてしまい、あまりの痛さに藁をも縋る思いで「口内炎には塩を塗るのが一番だ」という祖母の言葉を実践したことがあります。台所にあった食塩を指先に少し取り、鏡を見ながら唇の裏側にある白い潰瘍に直接塗り込みました。その瞬間の衝撃は今でも忘れられません。目の前が真っ白になるような鋭い痛みが走り、思わずその場にうずくまってしまうほどでした。涙が止まらず、口の中は塩辛さと激痛でパニック状態になり、慌てて水で何度もゆすぎましたが、塗った後の患部はさらに赤く腫れ上がり、脈打つような鈍痛がしばらく続きました。翌朝、少しは良くなっているだろうと期待して鏡を覗きましたが、現実は残酷でした。口内炎のサイズは前日よりも明らかに大きくなっており、周囲の組織まで白くふやけたようになっていて、さらに重症化してしまったのです。この体験を通して痛感したのは、民間療法を安易に信じて自分で行うことの危うさです。塩を塗れば殺菌されて早く治るというのは、おそらく戦中戦後のような消毒薬が手に入らなかった時代の話であり、現代のように優れた軟膏や保護シールがある状況では、わざわざ自分の肉体を痛めつけるような行為は全くの無意味、どころか逆効果でした。結局、その口内炎を治すために私は歯科医院を受診することになり、歯科医師からは「粘膜を塩で焼くようなものだから、絶対にやめてください」と厳しく注意を受けました。その後、処方された軟膏を使い、ビタミンB群のサプリメントを飲みながら1週間ほど静養することでようやく完治しましたが、自力で塩を塗った部分だけが治った後もしばらく違和感が残りました。私たちは時として「痛ければ痛いほど効いている」という錯覚に陥ることがありますが、医療においてそれは大きな間違いです。特に粘膜という非常にデリケートな部位に対しては、優しさと清潔さが何よりも重要であることを身をもって学びました。もし今、口内炎の痛みに耐えかねて塩を手に取ろうとしている人がいたら、私は全力で止めたいと思います。塩は料理を美味しくするためのものであり、剥き出しの神経に塗りつけるものではありません。まずはドラッグストアで適切なパッチを買い、早く寝ることが何よりの特効薬であることを知ってほしいです。私の愚かな挑戦が、同じ苦しみを抱える誰かの反面教師となれば幸いです。
痛みに耐えて口内炎に塩を塗った私の体験記