治療したはずの銀歯が痛むのはなぜですか
何年も前に虫歯治療を終え、すっかり安心していた銀歯。それがある日突然、ズキンとした痛みを発することがあります。治療したはずなのに、なぜ痛むのでしょうか。この不快な症状の背後には、いくつかの原因が考えられます。最も多いのが、銀歯の下で虫歯が再発している「二次カリエス」です。歯と銀歯を接着しているセメントは永久的なものではなく、年月とともに劣化し、わずかな隙間が生じます。そこから虫歯菌が侵入し、見えないところで静かに歯を蝕んでいくのです。また、痛みの種類によっては別の原因も考えられます。冷たいものや熱いものがしみるように痛む場合、歯周病などで歯茎が下がり、歯の根元が露出して起こる「知覚過敏」の可能性があります。銀歯との境目に段差ができ、そこが刺激に敏感になっているのです。噛んだ時だけズキンと痛むのであれば、歯ぎしりや食いしばりによって歯の根を支える歯根膜が炎症を起こす「歯根膜炎」や、歯の根が割れてしまう「歯根破折」も疑われます。さらに、一度神経の治療をした歯でも、根の先に膿が溜まる「根尖性歯周炎」という病気で、噛んだ時の圧力や体調の悪化によって痛むことがあります。時には、口の中の異なる種類の金属が触れ合うことで微弱な電流が発生し、ピリッとした痛みを感じる「ガルバニー電流」が原因のこともあります。いずれにせよ、銀歯の痛みは歯やその周りの組織が発している危険信号です。放置して自然に治ることはなく、むしろ悪化する一方です。自己判断で我慢せず、一刻も早く歯科医院を受診し、痛みの本当の原因を突き止めてもらうことが、大切な歯を守るための最善の策と言えるでしょう。