深夜や休日など、すぐに歯科医院に行けない時に限って、歯は突然痛み出すものです。そんな絶望的な状況で、少しでも痛みを和らげるためにできる応急処置と、逆に症状を悪化させる可能性のあるNG行動について知っておくことは非常に重要です。まず、試すべきことの一つは、痛む歯の周辺を冷やすことです。炎症が起きている場合、血行が良くなると痛みが増す傾向があります。濡れタオルや冷却シートなどを頬の外側から当てることで、血管を収縮させ、痛みの感覚を麻痺させる効果が期待できます。ただし、氷などを直接口に含んで患部を冷やすのは、刺激が強すぎて逆効果になることがあるので避けましょう。次に、市販の鎮痛剤を服用することも有効な手段です。用法用量を正しく守って使用すれば、一時的に痛みをコントロールすることができます。これはあくまで対症療法であり、根本的な原因が治るわけではないことを忘れてはいけません。また、口の中を清潔に保つことも大切です。食べかすが痛む歯の穴などに詰まっていると、圧迫されて痛みが増すことがあります。ぬるま湯で優しくうがいをして、口の中の汚れを洗い流しましょう。一方で、絶対にやってはいけないこともあります。それは、痛むからといって患部を指や舌でいじくり回すことです。細菌が入ったり、刺激で炎症が悪化したりする可能性があります。そして、血行を促進する行為、つまり飲酒や長時間の入浴、激しい運動は厳禁です。体が温まると、痛みが一気に増幅されることがよくあります。これらの応急処置は、あくまで歯科医院を受診するまでの「時間稼ぎ」に過ぎません。痛みが一時的に治まったとしても、それは嵐の前の静けさかもしれません。できるだけ早く専門家の診察を受け、適切な治療を開始することが最も賢明な選択です。