それは、楽しい週末を目前に控えた金曜日の夜のことでした。夕食を終え、ソファでくつろいでいた時、右上の奥歯にズキンと電気が走るような痛みが突然現れました。一瞬のことだったので気にしないようにしましたが、その後も断続的に痛みが襲ってきます。冷たい水を飲むとキーンとしみ、何もしなくても鈍い痛みが続くようになりました。虫歯だろうか、でも最近検診に行ったばかりなのに。そんなことを考えながらも、週末は歯医者も休みだし、月曜日まで我慢しようと安易に決めてしまいました。その決断が、地獄のような週末の始まりでした。痛みは夜になるにつれてどんどん強くなり、市販の痛み止めを飲んでも気休めにしかなりません。ズキズキと脈打つような痛みで、ほとんど一睡もできずに土曜の朝を迎えました。食事を摂るのも億劫で、おかゆを少し流し込むのが精一杯。楽しみにしていた友人との予定もすべてキャンセルし、ただひたすら痛みが過ぎ去るのを待つしかありませんでした。日曜日には、痛みで頬まで腫れているような感覚になり、あまりの辛さに休日診療の歯科医院を探しましたが、どこも予約でいっぱいで受け付けてもらえませんでした。そして月曜日の朝、私はすがるような思いでかかりつけの歯科医院に駆け込みました。診断の結果は、歯の神経が炎症を起こす急性歯髄炎。すぐに神経を抜く治療が行われ、あれほど私を苦しめた痛みは嘘のように消え去りました。歯科医師からは、「もう少し我慢していたら、炎症が顎の骨にまで広がって、もっと大変なことになっていましたよ」と言われ、自分の判断の甘さを心から後悔しました。たった二日間の我慢が、これほどまでに心身を消耗させるとは。この経験を通じて、歯の痛みは絶対に軽視してはいけないと、骨身にしみて学んだのです。