一週間前、私は長年恐れていた親知らずの抜歯を終えました。麻酔が切れると共にじわじわと痛み出し、それと同時に私の心に重くのしかかってきたのが、「血餅」という存在への恐怖でした。歯科医師に「この血の塊が取れると、ものすごく痛いドライソケットになりますからね」と笑顔で脅され、私は完全に怯えていました。その日から、私の生活は血餅中心に回るようになったのです。まず最初の試練は、うがいです。処方されたうがい薬を使いたいけれど、勢いよくブクブクしたら一巻の終わり。私は洗面台で、水をそっと口に含み、首をゆっくり傾けて患部に行き渡らせ、そのまま重力に任せてそっと吐き出すという「静寂のうがい」を編み出しました。次に食事。空腹は容赦なくやってきますが、固形物を噛む勇気はありません。最初の三日間は、ウィダーインゼリーと冷たいお粥、そしてプリンが私の主食でした。ストローで吸うのもNGと聞いていたので、ゼリー飲料もスプーンですくって食べるという徹底ぶり。何かを食べるたびに、鏡で血餅の無事を確認するのが日課になりました。歯磨きも恐怖との戦いです。患部を避けて、赤ちゃんに触れるかのような優しいタッチで一本一本磨きました。舌で患部に触りたくなる衝動を抑えるのが、これほど難しいことだとは思いませんでした。夜、寝ている間に無意識に舌で触ってしまったらどうしようと、眠りも浅くなりがちでした。そんな神経質な日々が四、五日続いた頃、鏡で見た血餅の表面が少し白っぽくなっていることに気づきました。一瞬パニックになりましたが、調べてみるとこれは治癒過程でできる正常な膜だと知り、胸を撫で下ろしました。そして一週間が経った今、痛みはほとんどなくなり、血餅も安定してくれたようです。この一週間は本当に長く感じましたが、あの時の神経質なまでの自己管理が、順調な回復につながったのだと確信しています。
親知らず抜歯後に血餅を守り抜いた一週間