2025年9月
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なかなか治らない口内炎に潜む病気のリスク
たかが口内炎と侮ってはいけません。通常、一般的な口内炎は一週間から二週間程度で自然に治ることがほとんどです。しかし、もし二週間以上たっても治らない、あるいは徐々に大きくなっている、同じ場所に繰り返しできるといった症状がある場合、それは単なる口内炎ではなく、何か別の病気が隠れているサインかもしれません。注意すべき病気の一つに「ベーチェット病」があります。これは、口内炎を何度も繰り返すほか、目のぶどう膜炎や皮膚症状、外陰部の潰瘍などを伴う全身性の自己免疫疾患です。原因は不明ですが、放置すると失明に至ることもあるため、早期発見・早期治療が非常に重要になります。また、「口腔がん」の初期症状が口内炎とよく似ていることもあります。特に、しこりやただれを伴う、境界が不明瞭で、出血しやすいといった特徴がある場合は要注意です。がんは痛みがないことも多いため、痛くないから大丈夫だろうと自己判断するのは大変危険です。その他にも、血液の病気である白血病や、消化管に炎症が起きるクローン病、鉄分やビタミンB12が不足する貧血など、全身の病気の一症状として口内炎が現れることもあります。これらの病気は、口の中だけを治療しても根本的な解決にはなりません。もし、あなたの口内炎がなかなか治らない、あるいは何かいつもと違うと感じた場合は、躊躇せずに専門医の診察を受けてください。まずはかかりつけの歯科や口腔外科を受診するのが良いでしょう。そこで必要と判断されれば、大学病院や専門の科を紹介してもらえます。少しの勇気が、将来の健康を守るための最も大切な一歩となるのです。