2025年9月
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銀歯を外す前に知っておきたい本当のこと
口の中に輝く銀歯。かつては虫歯治療の主役でしたが、最近ではその見た目や健康への影響を気にして、白い詰め物に取り替えたいと考える人が増えています。しかし、安易に銀歯を外すという決断を下す前には、知っておくべきいくつかのリスクが存在します。まず最も大きなリスクは、銀歯を外す際に、その下にある自分の歯を傷つけてしまう可能性です。銀歯はセメントで強力に合着されているため、外す際にはどうしても歯を削る必要があります。歯科医師は細心の注意を払いますが、健康な歯質まである程度削らざるを得ない場合や、処置の過程で歯に微細なひびが入ってしまう可能性はゼロではありません。特に、神経に近い深い虫歯の治療で被せられた銀歯の場合、外す際の刺激が神経を傷つけ、結果的に神経を抜く治療が必要になることもあります。また、銀歯の下の状態が予想以上に悪く、虫歯が大きく進行していた場合、銀歯を外したことで歯の強度が大幅に低下し、最悪の場合は抜歯に至るケースも考えられます。さらに、費用面のリスクも無視できません。銀歯を外して新しい詰め物や被せ物にする場合、審美性を求めてセラミックなどの保険適用外の材料を選ぶと、高額な費用がかかります。もちろん、金属アレルギーの懸念から解放されたり、見た目が自然になったりといった大きなメリットもあります。大切なのは、これらのリスクとメリットを天秤にかけ、歯科医師と十分に相談し、自分の歯の状態や将来のことも含めて総合的に判断することです。その場の思いつきで決めるのではなく、十分な情報を得た上で、納得のいく選択をすることが重要です。