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2025年9月
  • 歯の神経が叫ぶ激痛歯髄炎のメカニズム

    医療

    突然襲ってくる歯の痛みの中でも、特に強烈で耐え難いものの一つに「歯髄炎」があります。これは、歯の内部にある歯髄、つまり一般的に「歯の神経」と呼ばれる部分が炎症を起こした状態を指します。では、なぜ歯髄炎はこれほどまでに激しい痛みを引き起こすのでしょうか。そのメカニズムを理解するためには、歯の構造を知る必要があります。歯の最も外側は、体で最も硬い組織であるエナメル質で覆われています。その内側には象牙質があり、中心部に歯髄が収まっています。歯髄は、神経線維や血管が豊富に含まれる柔らかい組織で、硬い象牙質とエナメル質に完全に囲まれた、密閉された空間に存在しています。虫歯が進行してエナメル質と象牙質を突き破り、歯髄にまで細菌が感染すると、体は防御反応として炎症を起こします。体の他の部分で炎症が起きると、その部分は赤く腫れ上がりますが、それは血管が拡張し、血液成分が組織に出ていくためです。しかし、歯髄の場合は周囲を硬い壁に囲まれているため、炎症で腫れようとしても逃げ場がありません。その結果、歯髄内部の圧力が急激に上昇します。この高まった内圧が、歯髄の中にある無数の神経線維を強く圧迫し続けるため、「ズキズキ」「ドクドク」と脈打つような、耐え難い激しい痛みが生じるのです。さらに、温かいものを口に含むと、血管が拡張してさらに内圧が上がるため、痛みが悪化します。逆に冷たいもので冷やすと、一時的に血管が収縮して痛みが和らぐのはこのためです。この状態を放置すると、やがて歯髄は壊死し、痛みは一旦なくなります。しかし、それは治ったのではなく、感染が歯の根の先へと広がり、さらに深刻な問題を引き起こす始まりに過ぎないのです。